冬が寒くてよかったと思うのはこれが初めてかもしれない。
「エース、あんまり走るなよい」
言ったところで聞かないのはわかっているが、凍り付いた道を普段と同じ調子で歩こうとする少年は、何度も足を滑らせてはその柔軟な身体能力でバランスを取り、かろうじて転倒を免れている。
口から吐き出される白い息は、綿菓子のようにも見え、冬の澄み切った空気の中でひときわ存在感を示していた。
「マルコも早く来いよ」
そう言って手招きをした瞬間、エースの姿はマルコの視界から消えた。代わりにどすんという音が響く。
「いてて……」
「だから言っただろい」
のんびりと近づいて、マルコはエースに手を差しのべる。エースは少しばつが悪そうに、へへっと笑ってから、その手をしっかりと握った。繋がった手から流れ込んでくる熱は、マルコの手をじんじんとしびれさせる。こんなに冷えていたとは、とマルコは苦笑した。
「こんなに天気がいいのに、何で凍ってるんだろう?」
起き上がりながらエースがそんなことをつぶやいたので、マルコは彼の黒髪に付いた氷の粒を荒っぽく払い落としてから、遠くの山の方へと視線を送った。真っ白な雪原が太陽の光を反射して、きらきらと輝いている。
「昨日は星がよく見えただろい? 星がきれいな夜の翌朝は、晴れていても冷え込むんだよい。それを放射冷却と言ってだな……」
「あー、難しい話はいらねえや」
自分から聞いてきたくせに、とマルコがムッとすると、エースはすかさず鼻をこすり合わせてきて、そしてニカッと笑う。
「マルコの鼻、真っ赤だな!」
反則のような笑顔に、マルコはエースの唇を塞いで応酬した。
「んん……」
なかなか執拗に吸い付いて、口の中をかき回してやったものだから、唇が離れた時、エースはまるで風呂上がりのように体中から蒸気を上げていた。紅潮した頬に散ったそばかすがとても愛おしく見え、マルコは最後にちゅっと音を立てて、エースの頬にキスをした。
「お前も真っ赤だなァ」
そう言ってマルコはペロリと舌を出して笑う。
「こっ……これは寒いからだっ!」
まだ心を通わせて日が浅いせいか、エースは深く愛されることに慣れていないようだった。じゃれ合うだけなら、自ら進んで絡みついてくるくせに、飲み込まれそうになると途端に臆病になる。不器用な子どもだと思うが、そういうところもひっくるめて惚れてしまったのだから、ゆっくりと時間をかけて愛してやろう、とマルコは思っていた。
「ウソつけ。オレが言わなきゃシャツ一枚で外に出ようとしたくせによい」
普段は上半身裸だが、さすがのエースも冬島となればシャツくらいは羽織る。とはいえ文字通り羽織るだけで、前を開けたままの姿は端から見ていてかなり寒々しい。炎を操るエースの体温は常に高く、道が凍るほどの寒さでも「涼しい」くらいの感覚しかないのが本当のところだったが、その格好では外出させないと言われてしぶしぶポンチョを身につけてきたのだ。
「寒いなら暖め合うまでだろい?」
分厚いコートにマフラーを巻いたマルコが両手を伸ばすと、エースは引き寄せられるように抱きついて、体温を分け与える。いつもならくっつくと「暑い」と言って嫌がられることの方が多いが、こういう場所だと重宝される。何より、マルコにずっと抱きついていられるという意味で、エースは冬島が好きだった。
「なあ、オレたちも手伝いに行かなくていいのか?」
自分の体温がマルコに移り、それがまた自分に戻って来て二人が同じ温度になると、エースはまるでベッドの中でうとうとしている時のような甘えた口調に変わった。
「……雪に触る作業じゃ、お前の出る幕じゃねェだろい」
「そうだけど」
今朝、この島に船を寄せた時、16ある各隊から数名ずつ島の作業を手伝うようにと指示が出た。一年中雪に覆われた冬島では、年越しに大規模なかまくら祭りがある。それぞれの家がさまざまな形のかまくらを作り、中にランタンを灯して新年を迎えるのだという。大所帯の白ひげ海賊団がこの島で滞在する礼代わりに、雪を集めて運ぶ作業を手伝うことにしたのだった。そうなると、雪に触れるとあっという間に解けてしまうエースでは、何の役にも立たない。
「お前は最後に大仕事があるんだから、今はのんびりしてりゃいいんだよい」
そう言ってマルコはエースの額に厚ぼったい唇を押しつけた。
そうだった、とエースは思い直し、もう一度ぎゅうっとマルコに抱きついた。
町じゅうのかまくらに置かれたランタンに火を灯すのは、エースの担当になっていた。島の人口は300人ほどと聞いているが、日没後にそれらひとつひとつに火を入れて回るのもなかなか骨が折れそうだ。
最初に炎が灯ったのは、港の正面に作られた大きな雪像だった。
海を指差す女性の像は、この島を守る女神なのだと町の人が教えてくれた。女性が掲げる松明に、エースの炎が移り、力強く揺れている。そして、町の目抜き通りのかまくらに順番に火を入れていく。冷たく白いかたまりが、炎のオレンジに染まると、島民たちはエースに向かって笑顔で「ありがとう」と言った。
通りのはずれまで来てから振り返ると、町は幻想的な光に包まれ、光の道が出来上がっていた。あちこちから人の笑い声が聞こえ、おいしそうな料理のにおいが流れてきた。
「……何かいいな、こういうの」
エースがつぶやくと、ずっと傍にいたマルコが彼の黒髪をわしゃわしゃと撫でてくれた。
「さて、今度はオレたちのかまくらに火を入れてくれるかい?」
「オレたちの?」
「あァ、仲間たちが丘の上で朝からせっせと作っていたんだよい」
「朝から?」
「今夜は宴だからなァ……あいつらも張り切ってやがる」
夜通し飲み明かすとは聞いていたが、どこかの酒場を借り切るものだと思っていたエースは首を傾げた。町外れから先へ進み、なだらかな丘を上がると、すでに集まっていたクルーたちの賑やかな声が聞こえてきた。
「おー、来た来た」
「準備は万端だぞ!」
見ると、高く積み上げられた薪が三つ並び、それを囲むように小さなかまくらが点在している。
エースは思わず駆け出し、空にそびえる薪の山を見上げて叫んだ。
「キャンプファイアーか!」
すでに酒と料理は揃っていて、まもなく船長である白ひげが到着するという知らせが入った。火を囲む広場の中心には、大きなかまくらがひとつ作られ、夜の寒風から主を守るための対策はしっかりとされていた。
「おら、エース! お前の火がなけりゃ肉が焼けねえぞ!」
薪の影からクルーたちが生の骨つき肉を持って現れた。それを見て、エースの腹もぐうと鳴った。
「よーし、点火!」
三つの薪に火が点くと、それらは空に向かって豪快に燃え始めた。まるで炎の木みたいだ、とエースはぼんやりと思った。
パチパチと音を立てながら火の粉が散り、肉の焼けるにおいが辺りに充満し始めた頃、マルコがエースの肩を抱いて、そっと耳打ちをした。
「エース、向こうの細かいのにも点けてくれよい」
そう言われて、キャンプファイアーを遠巻きに囲む小さなかまくらひとつひとつにエースは火を灯す。それらはきれいに整列しているわけではなく、思い思いに作られたようで、エースは雪原の端から端をジグザグに動き回りながら、すべてのランタンに明かりを入れた。
「すげえ、きれいだな!」
元の場所に戻ってきたエースは、ほの明るくなった雪原を見て頬を緩めた。手前のランタンはより強く、遠くのランタンはぼんやりとした輪郭であたりをオレンジに染め上げている。
「ごくろうさん」
白ひげを迎え入れていたマルコが戻ってきて、エースに向かって両手を広げると、エースは子犬のように走って行きマルコに飛びついた。
「肉焼けた? 早く始めようぜ!」
エースの気持ちはすっかり宴に向いていて、年越しが自分にとって何を意味するのかすら忘れてしまっていた。
宴が始まると、飲めや歌えの大騒ぎとなり、炎の周りでは笑い声が絶えない。やがて島民たちも炎に誘われ、人の輪はどんどん膨れあがっていった。
「オヤジ、飲んでるかー?」
すでにほろ酔いになったエースが大きな酒瓶を持って白ひげの元へやって来た。白ひげはグラララと笑い、膝にまとわりつくエースの頭をぐりぐりと撫でてやった。
「いい顔で笑うようになったな、エース」
1年ほど前に拾ったナイフのような少年は、いつしか白ひげ海賊団の2番隊隊長としてなくてはならない存在になっていた。
「へへ、だって楽しいから」
「何が楽しい?」
そう聞かれて、エースはきょとんと目を見開いた。
「えっと……肉食って、酒飲んで、歌って……かな」
いや、そうじゃない。酒の回った頭でも、今の言葉が適当ではないと気づく。楽しいのはこの場の雰囲気だけではないのだ。
「なんだろ……オヤジを囲んで、みんなでこうやって笑っていられるからかもしれねえ」
それでもまだしっくりと来ず、助けを求めるように傍らにいたマルコを見ると、マルコは目を細めて笑っていた。それが、心を見透かされたような気がして、エースは思わずうつむく。
「それじゃあいいことを教えてやろう」
白ひげはエースを膝に座らせ、彼のジョッキに酒を注ぎながらゆっくりと話し始めた。
「お前の能力は火だ」
「うん」
「火の周りには人が集まる。人は火を囲んで語らい、肩を組み、そして歌う」
白ひげの言葉は、ごくごく当然のことのようで、何か深いメッセージがあるようにも思えた。エースは、必死で頭を働かせて、彼の言葉を受け止める。
「火は暴走すると山を焼き尽くして、あらゆる命を奪う恐ろしいものだが、その一方で人々の生活や心を豊かにしてくれるものだ……わかるか?」
「うーん……なんとなく」
素直にそう言うと、白ひげは笑ってエースの頭を手加減なしで撫で回した。
「グラララ……お前の能力は使い方次第で人を幸せにもできるし、不幸にもできる。だから、オレがお前に望むのは、ひとつだ。その能力でたくさんの人間を幸せにしてやれ、エース」
「オレが……誰かを幸せにすることなんてできるのかな?」
エースは急に不安げな表情に変わり、言葉尻を濁らせた。すると、白ひげのそばにいたマルコが一歩前に出てエースを見つめた。ちょうど、ランタンの光がマルコの髪を照らし、オレンジと金色が混ざり合った不思議な色を作り出している。
「オレは、お前に出会えて幸せになれたよい」
不意打ちのような言葉に、エースの頬は一瞬で赤く染まった。
「グラララ……おいエース見てみろ、マルコのしまりのねェツラときたら」
豪快に笑う白ひげの膝の上で、エースも少しはにかんで笑った。それを見てマルコは、満足そうにうなずいた。
「さて、そろそろ年が明けるよい」
マルコが新しい盃を用意していると、かまくらの外から地響きのような歓声が聞こえて来た。
「オヤジ!」
「オヤジ、おめでとう!」
「今年もよろしくな!」
クルーたちが一斉にかまくらに押し寄せ、白ひげに酒を注ぎ始めると、エースはそっと膝から降りようとしたが、白ひげが引き留めるので、そのまま彼の隣で酒を注がれる羽目になった。
「エース、おめでとう!」
「エース隊長、おめでとうございます!」
さすがにみんなのオヤジを独り占めしているような気がして、気が引ける。ナースがいったんストップをかけたところで、エースは今度こそかまくらを出ようとした。しかし今度はマルコがエースを引き留めた。
「主役がいなくてどうするんだよい」
そう言われて初めて、エースは気づいた。先ほどからみんなが口に出していた「おめでとう」は、年が明けたことへの祝いの言葉ではなかったということに。
「今日はお前の誕生日だろい、エース」
年越しに紛れてみんな忘れていると思っていただけに、はっきりと言葉にされると、逃げ場を失ったような気分になる。
「お、オレ、別に祝ってくれとか頼んでねえし……」
そう言うだろうと思った、とマルコは大人の態度で穏やかに笑う。
「お前はそうじゃなくても、みんなは祝いてェんだ……お前がかわいくて仕方ねェからよい」
「……!」
顔の輪郭が崩れて、エースは半分泣きそうな顔になっていた。どうして、この少年は、愛されることに臆病なのか。そう思いながらマルコはエースをぎゅっと抱きしめてやった。
「悪いが、ちょっとエースを連れて行くよい」
そう言って、マルコは不死鳥に姿を変え、エースを乗せて空へと羽ばたいた。澄み切った星空に青い光が映える。
マルコの首にぎゅっとつかまったエースは、ずっと無言のまま。「寒いのか」と聞いても返ってくるのは「寒くねえ」という素っ気ない返事だけ。
何度か旋回し、空の高い位置から丘を見下ろすと、キャンプファイアーの三つの炎が力強く燃えているのが見える。
「エース、見てみろよい」
マルコの声でようやくエースは顔を上げた。目が慣れるまで若干の間があったが、ぼんやりとした視界に徐々に浮かび上がる文字に、言葉を失ってしまった。
HAPPY BIRTHDAY ACE
あのジグザグに並んだ小さなかまくらは、ほのかな灯りを繋いで、白い丘にその文字を描き出していた。
「数えたら16文字だったんで、他の隊長に言ったらみんな乗り気になってよい」
「……もしかして、作業の手伝いとか言ってたのって、これのことだったのか?」
その質問には返事をせず、マルコは光の文字の上を何度もくるくると回った。
「2番隊の連中なんか、全員やりてェとか言うもんだから、くじ引きまでしたって話だぞい」
言われてみれば、2番隊が作ったであろう「A」の一文字は、他の文字よりも大きく、それが全体のバランスを崩してもお構いなしといった風情だ。
「他の隊だって、かまくら以外に何かできることはねェかって、お前の好きな肉やら何やら買いに回って」
誰もが、愛する末っ子の誕生日を祝いたくてうずうずしていたのだと聞いて、エースはぐっと唇を噛んだ。
素直に嬉しいと思う気持ちに絡みつく、複雑な感情は今に始まったことではない。
「オヤジの話にもあっただろい? 火には人が集まる、火は人を幸せにするってなァ……」
「でも……不幸にもするって」
「どうしてお前はそう悪い方にばかり考えるかねい」
マルコは少し呆れたようにそう言って、ふっと人の姿に戻った。
「わっ、ちょっとマルコ……!」
慌ててマルコの首にしがみつくも、二人は雪原に向かって真っ逆さまに落ちていく。エースがぎゅっと目を閉じると、一瞬だけふわりと体が浮き上がり、次の瞬間、ぼすん、と音を立ててまっさらな雪の上に落ちた。
「あっ……危ねえだろっ!!」
「ははは……」
マルコの上に馬乗りになってエースが怒ると、珍しくマルコは声を出して笑っていた。この男は雪の上に落ちる直前、羽根を伸ばして、墜落の衝撃を緩和したのだ。すべて計算ずくでやっているのだと思うと、振り回されているようで腹が立つ。
「だからオヤジが言ったんだよい……願いはひとつ、たくさんの人間を幸せにしてやれって」
「ど、どういうこと……?」
すると、マルコは腕を伸ばして、エースの胸に指を当てた。いつの間にかポンチョを脱ぎ、シャツ一枚で前をはだけているエースの心臓あたりにひやりと冷たい感触があった。
「お前の能力をどう使うかは、お前次第ってことだよい。いくら19になったばかりのガキだからって、それくらいわからねェとは言わせねェよい?」
マルコの視線は優しく、まるでエースの心が見えているようだった。
「お前が町のかまくらに火を灯した時、島民たちは嬉しそうにありがとうって言っただろい? キャンプファイアーだってそうだ、炎を囲めばみんなが暖を取れて、肉を焼いて、酒を飲んで歌を歌える……それだけで、十分みんなを幸せにしていると思わねェか?」
それが、エースにとって居心地のいい、楽しい空間なのだとすれば、それは正しい能力の使い方なのだとマルコは念を押すように言った。
「暗闇で孤独に怯えている者がいたら、その炎で導いてやればいい。寒さに震えている者がいれば、その炎で暖めてやればいい……お前にはそれができる」
自分の倍ほど生きている男の言葉は、エースの心にしっかりと響いた。そしてそれに引っ張られるように、白ひげから掛けられた言葉の重みもより増すのだった。
「そ、そうか……よくわかんねえけど」
口ではそう言ったけど、エースはちゃんとわかっていた。白ひげやマルコが伝えようとしていること−−
それは、「誇れる生き方をしろ」ということなのだと。
じわり、と涙が溢れてくるのがわかって、エースは空を仰いだ。満天の星空がちらちらと儚い光を放っている。吐き出した息は白い塊となって、空へと吸い込まれていく。
「とりあえずは……オレを暖めてくれねェかよい?」
雪の上にずっと寝そべったままだったので、マルコの体は完全に冷え切っていた。向かい合ってぎゅうっと抱きつくと、外気と同じくらいの体温にエースも思わず鳥肌を立てた。
「ああ、やっぱりお前は暖かいなァ……」
マルコがしみじみとそう言ったので、エースは「暑い時は嫌がるくせに」と皮肉を言って浮つく気持ちをごまかした。
「……なあ、マルコは今幸せなのか?」
「今?」
マルコは「野暮なことを」と笑いながら額をこつんとくっつけて来た。
「いつも、だろい?」
一瞬で体中が熱くなるのがわかって、エースは慌ててマルコから逃げるように体を離した。
「……いい加減慣れてもらいてェもんだよい」
クックッと肩を揺らしながら、マルコは少しだけ意地の悪い顔を見せた。
泣きそうな顔で戸惑っているのは、つい先ほど19歳を迎えたばかりの恋人。あまりにも愛おしいので、その額に、鼻に、頬に何度もキスをしてやると、エースはようやく力を抜いてマルコに身を委ねて来た。
マルコの肩越しには、満天の星が広がっている。
明日も晴れて、また道が凍るのかもしれない、とエースは思った。それを放射冷却というらしい。
そうしたらまた、マルコにずっと抱きついていられると思うと、もっともっと寒くなればいいのにと欲が出る。
「さて、戻るか」
そう言って立ち上がると、一瞬だけ強い風が吹いて、雪原の雪が空に舞い上がる。ちらちらと粉雪のように落ちてくる氷の粒を見上げながら、エースは自然に口元を緩めた。
「楽しそうだねい」
「いつも、だよ」
そう言ってニカッと笑ったエースを見て、マルコはどこか満足そうに目を細めた。
「なあ、マルコ?」
白い息を吐いてエースが両手を広げる。
「もうちょっとここにいようぜ」
黒髪に雪を残したエースの姿は、白くて冷たい世界に明かりを灯す炎そのものに見えた。
少しだけ大人になった少年は、少しだけ愛されることの意味を知ったのかもしれない。
そんな風に思いながら、マルコはエースを力一杯抱きしめてやった。
「おめでとう、エース」
耳元でそう囁くと、くぐもった声で「うん」と返ってきた。
その口から素直に「ありがとう」と返ってくるのはいつになることやら。
苦笑しながらも、エースの熱い体温を感じながら、マルコは改めて幸せを実感する。
冬が寒くてよかったと思うのは、これが初めてかもしれない。
スノースマイル おわり
2014.1.1 Happy birthday ACE!!