a day under the tree 3

3 times a day 〜答えはその中に〜 2

KAKASHI×SAKURA

 

 


少しくすんだ青空に、そこに似つかわしくない真っ白な雲が流れていく。
同じく少しくすんだ太陽が長い影を作る。
一歩ずつ投げ出すように歩くサクラを、長い影が追い越して先へと進む。

「サクラどう?」

後からやってきた大きな影が、サクラの陰をすっぽりと覆ってしまった。

「ん。まず考えられるのは、人が二人隠れるくらいの大きな木、かな」
「なるほど。じゃあ大きな木を探す?」
「でもつまさき立ちっていうのが気になるのよねー……」

あーでもない、こーでもない、とぶつぶつ言いながら、サクラはあてもなく歩き続ける。
後ろからのんびりとカカシもついて行く。
遠くでナルトの声が聞こえる。

「ところで、サクラならどうやってネックレスを探す? ナルトが動くとして」

カカシの問いかけに、しばらく停滞していたサクラの思考がさらさらと流れ出した。

「そうねー、まずあのご夫婦がケンカしてネックレスを投げた場所を聞き出して、そこから奥さんの腕力で届く範囲を割り出して、あとはそこを徹底的に探すかな。ナルトの影分身でね」

さすが、と軽く手を叩いて、カカシは揺れる小麦の穂に視線を移す。
「あの二人がそれに気づけば、あっという間に見つかるんだけどね……って、二人とも小麦に埋もれて姿が見えないな」

察するにチームワークどころではない叫び声が、少しオレンジ色が混ざり始めた空に響いている。
カカシは笑いをこらえながら、サクラを追い越した。

「あ!」
「ん?」
「先生、ストップ!」

突然のサクラの指示に、カカシは不思議そうに首をかしげて立ち止まった。

「見て」
「ん? 何を?」

サクラの指の方向には、カカシの影が長く映し出されている。サクラは一歩踏み出してカカシに近づいた。

「ほら、影が……えーと」
「あー……」

長く長く伸びた二人の影は、光を切り取るように重なっていた。

まるで寄り添うように。まるで、口づけを交わすように。

その言葉を口にするのが妙に照れくさくて、サクラもカカシも沈黙のまま納得した。

「おーいカカシ先生! サクラちゃーん! 見つかったってばよー!」

絶妙のタイミングでナルトの声がその沈黙を破った。

黄金色の海から時々飛び出すナルトの顔が、少しずつ近づいてくる。
それを目で追いながら、今度はカカシが何かに気づいた。

「サクラ、ほら」

ぽん、と肩を叩くと、影の重なりとは違って実体のある柔らかな抵抗を感じた。

「小麦畑に影が映ってる」

ぴょこぴょこと飛び上がるナルトは、光の中に現れたかと思うと、次は影の中から顔を出す。
夕日を受けた木々が小麦畑を光と影に分断していた。

はっとしてサクラはカカシを一瞬見つめて、そしてすぐに走り出した。カカシも後を追う。
小麦畑を見下ろす丘に上がると、すべてが明らかになった。
息を切らしながら、サクラはうれしそうに言った。

「……わかった……!」

目を大きく見開いて、そしてきらきらとうるませてサクラは振り返った。カカシもそれに答えるようににっこりと笑った。

「あの二つの木の影が重なるんだわ」

ゆるやかな傾斜に間隔をおいて二本の木が生えている。太陽の傾きは、手前の木の影を長く映し出し、小麦畑の上で今にももう一本の木の影に重なりそうだった。

「つま先立ちってこういうことなのね」

二本の木の影は、黄昏どきの刹那に身を寄せ合う男女のように見えた。

「ロマンチックだねぇ」

まあよくもこんな粋なことを思いついたものだ、とカカシは舌を巻いた。

……さっき、サクラの影が重なったとき、ガラにもなくドキッとしたっての。

「行ってみる?」

「うん!」

間髪入れずにそう言って、サクラは先に走り出した。
ふわふわと軽い足取りを目で追いながら、カカシも歩き出す。

カカシの影は長く伸びて、届くか届かないかのところでサクラを追いかけていた。

 

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